EVの充電規格とは?J1772・CHAdeMO・NACSの違いと充電口が2つある理由

EVを見ると、普通充電用と急速充電用の2つの充電口がある車種が多いことに気づきます。一方、テスラの充電口は1つだけです。この違いには、EVの「充電規格」が関係しています。

この記事では、それぞれの充電規格の違いや、普通充電と急速充電で充電口が分かれている理由、充電器の出力などについて解説します。

目次

EVの「充電規格」とは?  

EVの充電規格とは、EVと充電器を接続して充電するための共通のルールです。コネクターの形状や、充電器と車両が情報をやり取りする仕組みなどが規格によって定められています。

日本で使われている主な充電規格は、「J1772(Type1)」「CHAdeMO」「NACS」の3つです。

国内で販売されているEV・PHEVの多くは、普通充電に「J1772(Type1)」、急速充電に「CHAdeMO」を採用しています。テスラは、普通充電と急速充電の両方に「NACS」を採用しています。 

なぜEVには充電口が2つあるの? 

普通充電と急速充電では電気の変換方法が違う

バッテリーに電気を蓄えるには、決まった種類の電気に変換する必要があります。身近な例で言うと、スマートフォンも同じです。家庭のコンセントから来る電気は、充電器(ACアダプター)の中でスマホが使える種類の電気に変換されてから、バッテリーへ送られます。
(専門的には、家庭のコンセントの電気を「交流=AC」、バッテリーに蓄えられる電気を「直流=DC」と呼びます。)

EVの普通充電では、この変換を車両側で行います。充電器からACのまま電気を送り、車両に搭載された「車載充電器(オンボードチャージャー)」でDCに変換してバッテリーに充電します。車載充電器は車両に搭載できるサイズに抑える必要があるため、扱える電力の大きさにも限りがあります

一方、急速充電では、充電器側でACをDCに変換します。充電設備側に大型で高出力な変換装置を設置し、変換したDCを車両へ直接送ることで、普通充電よりも大きな電力で短時間に充電できます。

充電規格はコネクターの形だけではない

充電規格で定められているのは、コネクターの形状や端子の配置だけではありません。EVの充電では、プラグをつないで電気を流すだけでなく、充電器と車両の間で、充電を開始・停止するタイミングや、どのくらいの電力で充電するかなどの情報もやり取りしています。特に急速充電では、バッテリーの状態に合わせて、充電する電力を調整しながら充電します。

普通充電の「J1772」と急速充電の「CHAdeMO」は、こうした仕組みも含めて別々に定められた規格で、コネクターの形状も異なります。

NACSは普通充電と急速充電を1つの充電口に

テスラが採用するNACSは、普通充電と急速充電の両方に、ひとつの充電口で対応できるようにつくられた規格です。普通充電と急速充電で別々の充電口を使うJ1772・CHAdeMOとは異なり、接続した充電器に合わせて、車両側で普通充電と急速充電が自動的に切り替わる仕組みになっています。

また、テスラ車では、専用のアダプターを使用することで、J1772の普通充電器やCHAdeMOの急速充電器を利用することもできます。

日本で使われる3つの充電規格 

J1772(Type1)|普通充電で使われる規格

J1772は、普通充電に使われる規格です。「SAE J1772」や「Type1」とも呼ばれ、日本国内ではテスラを除くEV・PHEVに使われています。海外メーカーの車両も、日本国内向けに販売される際にはJ1772の充電口を備えています。

J1772の普通充電器は、自宅のほか、商業施設や宿泊施設などにも広く設置されています。普通充電設備は、コンセントタイプでは3kWが一般的で、壁掛け型やスタンド型では6kWのものが多く、さらに9.6kWに対応する充電器もあります。

ただし、実際の充電出力は、充電器の出力だけでなく、車両側の受け入れ性能によっても決まります。普通充電では、車両に搭載された車載充電器でACをDCに変換するため、車載充電器が対応できる出力を超えて充電することはできません。たとえば、最大3kWまで対応する車両を6kWの普通充電器につないでも、充電出力は最大3kWとなります。 

CHAdeMO|急速充電で使われる日本発の規格 

CHAdeMO(チャデモ)は、日本で開発された急速充電の規格です。日本国内では、テスラを除くEV・PHEVの急速充電に使われています。

CHAdeMOの急速充電器は、高速道路のSA・PAや道の駅、商業施設、カーディーラーなどに設置されています。充電器によって出力は異なり、50kWや90kW程度のものから、150kW以上の高出力な充電器まであります。

ただし、J1772の普通充電と同様に、急速充電でも充電器の最大出力がそのまま車両に供給されるとは限りません。実際の充電出力は、車両が受け入れられる最大出力やバッテリー残量、バッテリーの温度などによって変化します。

また、CHAdeMOは急速充電だけでなく、EVに蓄えた電気を住宅へ供給するV2H(Vehicle to Home)にも使われています。CHAdeMOは車両と充電器の間で双方向に電力をやり取りできる仕組みに対応しており、V2Hに対応した車両とV2H機器を組み合わせることで、EVのバッテリーに蓄えた電気を家庭用の電源として活用できます。

NACS|テスラが採用する普通・急速充電共通の規格 

NACSは、テスラが開発した充電規格です。日本で販売されているテスラ車では、普通充電と急速充電の両方にNACSが使われています。

テスラの普通充電には、自宅などに設置する「ウォールコネクター」や、ホテル・商業施設などに設置されている「デスティネーションチャージング」があります。急速充電には、テスラが展開する「スーパーチャージャー」があり、日本では最大250kWの高出力な充電に対応しています。

NACSは北米を中心にテスラ以外の自動車メーカーにも採用が広がっており、日本でもマツダやJeepなど、今後NACSを採用するEVが登場する予定です。

海外の充電規格はどう違う?

海外では、日本とは異なる充電規格が使われています。アメリカやカナダでは「CCS1」や「NACS」、欧州では「CCS2」、中国では「GB/T」などが使われています。 

地域普通充電急速充電
日本J1772(Type1) CHAdeMO
アメリカ・カナダJ1772(Type1)/NACS CCS1/NACS 
欧州Mennekes(Type2)CCS2
中国GB/TGB/T

CCS1とCCS2は、1つの充電口で普通充電と急速充電の両方に対応できる規格です。一方、中国のGB/Tは、日本のJ1772とCHAdeMOのように、普通充電と急速充電で異なる充電口を使用します。 

EV充電エネチェンジアプリなら充電規格から充電スポットを絞り込める 

EV充電エネチェンジアプリでは、充電スポットを検索する際に、充電規格を指定して絞り込むことができます。検索フィルタでは、普通充電の「J1772」「NACS」、急速充電の「CHAdeMO」「NACS」から、利用したい充電規格を選択できます。

また、急速充電器は出力範囲をスライダーで指定して検索することもできます。たとえば、高出力な急速充電器を利用したい場合は、希望する出力以上の充電器に絞って充電スポットを探せます。

このほか、利用している充電カード・アプリや、充電器が設置されている施設の種類、駐車料金の有無、現在の営業状況など、さまざまな条件で絞り込むことができます。

まとめ 

日本で使われているEVの主な充電規格は、普通充電の「J1772(Type1)」、急速充電の「CHAdeMO」、テスラが普通充電と急速充電の両方に採用する「NACS」の3つです。

日本国内では、テスラを除くEV・PHEVは普通充電にJ1772、急速充電にCHAdeMOを使用するため、それぞれに対応した2つの充電口を備えています。一方、NACSは1つの充電口で普通充電と急速充電の両方に対応します。

EV充電エネチェンジアプリでは、J1772・CHAdeMO・NACSなどの充電規格を指定して充電スポットを検索できます。急速充電器は出力範囲でも絞り込めるので、充電スポットを探す際に活用してみてください。

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