石垣島で麺を食べるならコレに決まり!沖縄そばとはちょっと違う「八重山そば」の食べ歩きドライブに出掛けよう(文:玉置標本)

ドライブと相性のよいのが「食べ歩き」。ここまで「香川県の讃岐うどん」「山形のそば」を紹介しましたが、今回のテーマは「石垣島の八重山そば」巡りです。

八重山そばとは、石垣島のある八重山列島で食べられている沖縄そばの一種のこと。石垣島まで自分の車を持ち込むのはちょっと大変ですが、たまにはレンタカーを借りていつもと違う車のフィーリングを感じつつ(電気自動車のレンタカーも探すとあります!)、南の島への移住を妄想しながらドライブしてみてはいかがでしょうか。

目次

八重山そばの特徴

八重山そばをまだ知らない方も多いと思いますので、一体どんな麺類なのか、僭越ながら解説させていただきます。

文字で説明するよりも写真をお見せした方が早いですよね。こちらが石垣島などで愛されている八重山そばに、ジューシー(沖縄風炊き込みごはん)をつけた定番セットです。

とある老舗の八重山そばとジューシーのセット

八重山そばの麺は沖縄そばと同じで、「蕎麦粉」ではなく「小麦粉」が使われます。中華そばと同じ意味の「そば」ですね。生麺ではなく茹で麺で流通しており、製麺所で麺を茹でて、風を当てて冷ましながら油をまぶして袋詰めしています。

製麺所で茹でてあるから、食べる時の茹で時間はほんの一瞬。お店が混雑していなければ、注文してからすぐに出てきます。この早さが人気の鍵なのかも。

ちなみに沖縄そばは太めの縮れた平麺(断面が長方形)が多く使われますが、八重山そばは細めのストレート丸麺(平麺の場合も)が標準です。

またこの麺には中華麺に必ず入る「かんすい」というアルカリ性の食品添加物が使われているのですが、昔はかんすいではなく「木灰(もっかい)」と呼ばれる薪の灰を水に浸けておき、その上澄みを使ったそうです。灰がアルカリ性なので、かんすいと同じ効果があるのです。

八重山そばの麺は細めでストレートの茹で麺で、丸麺が主流ですが平麺を好む人も多いとか

スープは豚骨と鰹節でとった透明度の高いあっさりした出汁に、塩や醤油で薄めに味をつけたものが標準。お店によっては干し椎茸や昆布を入れることもあるようです。沖縄そばと基本的には一緒ですが、八重山そばのほうがよりあっさりしている印象です。

八重山そばのスープは市販品がたくさん販売されていますが、家庭で作る場合も多く、どこのスーパーでも「ダシ骨」という名前でぶつ切りの豚骨が販売されています。

スープのベースは豚骨
八重山諸島は昔から鰹節の産地でもあるので、鰹節が入るのがポイント

具は煮込んだ豚肉の細切り、四角い揚げかまぼこ(平かまぼこ)の細切り、島ねぎ(青ねぎ)の小口切りが標準的な組み合わせ。かまぼこは豚と一緒に煮込んである場合と、ただ切っただけの場合があります。

最近は沖縄そばの定番であるソーキ(骨付き豚バラ肉)や三枚肉(皮付きバラ肉)が用意されている店も多いようです。

沖縄そばでは定番の紅生姜は乗せないことが多く、石垣島の製麺所の方の話では、八重山そばは沖縄そばよりもあっさりしているため紅生姜は薬味として味が強すぎるのだとか。

八重山そばの具によく使われる平たい揚げかまぼこ
島ねぎは根っこの部分がアサツキのように膨らんでいました

そして食べるときにお好みで入れる調味料が、ピパーチ(ピパーツやピパーズやヒバーチなどと表記されることも)とコーレーグース。

ピパーチはヒハツモドキという石垣島の石垣によく生えているコショウ科の植物の実の粉末で、独特のスパイシーな香りがクセになる八重山地方のご当地香辛料。胡椒や唐辛子ほど刺激が強くないため、これが八重山そばにとても合うのです。

コーレーグースは島唐辛子と呼ばれる小さくて辛い唐辛子を泡盛につけたもの。沖縄そばでも定番ですね。こちらはかなり刺激的なので、少しの量から試してみてください。

ピパーチとコーレーグースは八重山そばには欠かせない存在
これがピパーチの実。若葉を細かく刻んだものがジューシー(沖縄風炊き込みごはん)の隠し味に使われます

石垣島の八重山そばの名店

八重山そばがどんな食べ物かわかったところで、私が実際に食べておいしかった名店をご紹介します。

なかよし食堂

古き良き石垣島の食堂という雰囲気がたまらないなかよし食堂。「八重山そば専門店」と書かれていますが、様々な定食やぜんざい(かき氷)も人気です。

駐車場がちょっと停めにくいので、レンタカーなら近くのコインパーキングを利用した方が無難かも
この八重山そばがしみじみうまいんですよ
麺は丸麺、かまぼこは豚肉と一緒にしっかり煮込まれています
こちらは同行者が注文したみそ汁の定食。具だくさんで卵を入れるのが沖縄の特徴だとか

やまむらし

石垣空港と市街地の途中にあるやまむらし。やまむらしとはこの辺りの土地の古い呼び方。普通の民家と間違えそうな店構えに驚きましたが、店内も普通の家っぽく食べる場所は畳敷き。だからこそ、のんびりした島の空気が味わえます。

どう見ても普通の家
メニューは八重山そばとジューシーのみ。もちろんセットでいただきました
麺は丸麺、かまぼこは煮込まれていないタイプ。あっさりしたスープにピパーツがよく合います
刻まれたピパーツの若葉の香りがたまらないジューシー

島そば一番地

昔ながらの製法にこだわり、天然調味料だけを使用する島そば一番地。私が食べた限りでは、石垣島でもっともあっさりした八重山そばでした。もしこれを埼玉あたりで食べたら物足りなく感じるかもしれませんが、石垣島で数日過ごしてから食べると、これが実にちょうどよいのです。

伝統的な製法にこだわる島そば一番地
八重山そば、ジューシー、ジーマミ豆腐を注文
麺は丸麺よりも歴史が古い平麺、かまぼこは煮込まないタイプ
ジーマミ豆腐とは落花生(ピーナッツ)の絞り汁をでんぷんで固めたもの。これもまた絶品でした

キミ食堂

昭和49年創業のキミ食堂。普通の八重山そばもありますが、宮古島出身である創業者のキミさんが仕込む麦味噌を使った味噌そばが一番人気。今回はその味噌そば、そして豚の内臓を干し椎茸などと煮込んだ中味そばをいただきました。

道路を挟んだマックスバリュ前の提携駐車場が利用できます
少し酸味を感じる風味豊かな味噌そばはここでしか食べられない味
たまにしかメニューに登場しないという中味そばは臭みをまったく感じません
ひじきなどが入った具沢山なおにぎりタイプのジューシー

とうふの比嘉

石垣島にしっかりと根付いている八重山そばは、そば専門店以外でも食べることができます。とうふの比嘉というゆし豆腐(固めていない柔らかい豆腐)が人気の店で食べた、ゆし豆腐そばもまた記憶に残る味でした。

サトウキビ畑に囲まれたのどかな場所にあるとうふの比嘉
八重山そばにゆし豆腐をのせたゆし豆腐そばは朝食に最適
麺は平麺で、かまぼこともやしを炒めたものがのっています

八重山そば、食べてみたくなったでしょうか。私は今すぐにでも食べたくなっています。

どこで食べてもおいしいそばですが、やっぱり八重山そばは石垣島などの八重山諸島で食べるのが一番でしょう。ぜひ島の空気を体いっぱいに充填してからそばをすすり、「このあっさり味がいいんだよな~」とつぶやいてきてください!

※記事は2026年6月時点の内容です。

八重山そばの食べ歩き旅行におすすめのEV充電スポット

著者:玉置標本
食材の採取とそれを使った冒険的料理が得意なフリーライター。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。著書に『育ちすぎたタケノコでメンマを作ってみた』(家の光協会)、『捕まえて、食べる』(新潮社)など。

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