『秘密のケンミンSHOW』など数々の人気番組でリサーチ・構成に携わってきたライター兼番組リサーチャーの辰井裕紀さんが、全国のEVドライバーに「ぜひ行ってほしい」スポットを紹介する本企画。今回は、年間来客数が15万人の超人気鶏料理店「ドライブイン鳥」をご紹介します。
ここはどこだ?

佐賀県の伊万里市です。伊万里駅からも離れており、まさに車に乗ってこそ行ける場所にあるのが、「ドライブイン鳥 伊万里本店」です。
「伊万里で一番人が集まる場所」とも言われ、年間来客数約15万人を誇るほどの人気店。
エンタメ企業のCygamesが設立した「CyFoods」によって運営されるFC店の佐賀店が、M-1グランプリにCMを流し、優勝賞品に「ドライブイン鳥1年分」を提供することでも話題になりました。
のどかな道に突如、目立つ看板が?
国道を進むと……目立ちすぎる店構えが姿を現しました。「周囲の店に埋もれないため」にこうしているそうです。

創業時に養鶏場を営みつつ、卵を売り歩いていた中で、知り合いに飲食店を譲り受けたことから、1969年1月1日、酉年の元日という極めて縁起のいい日に「ドライブイン鳥」が誕生しました。
当時はまだ珍しかった鶏料理の専門店として軌道に乗り、今や佐賀と福岡に3店舗を展開しています。
養鶏場をルーツにもつため、大いに鶏へのこだわりが感じられると定評のある店です。
さあ、「奇跡のドライブイン」と、自らハードルを上げていくスタイルの店舗へ入りましょう。

今回は、ドライブイン鳥 伊万里本店の店長、前田貴裕さんのお話を交えながらお送りします。
お店に入ると、何やら店頭に立っている鶏のオブジェ。2004年ごろ、「お店の象徴的なイメージを出すため」にと設置されたものだそう。忘れられない存在感です。

通された席はこんな感じ。ドライブインというと、トラックドライバー向けの男臭い場所を想像する方も多いと思いますが、「家庭的な雰囲気づくり」を大事にしており、家族連れでも行きやすい空間です。

行列必至の人気店ですが、この日は平日の一番乗りで行ったのでゆったりと過ごせました。
「一番定食」が一番だ!
さっそくぶっちぎりで一番の人気メニュー、その名も「一番定食」をいただきましょう。
前田さんいわく、人気の秘訣は「メインの若どりと鳥めしと鳥スープがセットになった商品だから」。そんな単純明快な大ヒットアイテムはほどなくして運ばれてきました。

さあ、何から手を付けましょうか。
ここで、店の看板を思い出しました。

そうそう……「やき鳥一番 鳥めし二番」ならば、焼き鳥を初めに食べるべきじゃないかということで、焼き鳥を最初にいただきます。
ちなみにこのフレーズは、地理的に近い長崎・文明堂の「カステラ一番、電話は二番」のオマージュ? と前田店長に聞いたところ、「そうとも取れますね(笑)」とのことでした。
この焼き鳥は調理されて串に刺した状態で提供されるわけではなく、生のまま登場します。これを目の前にある、昔ながらのガスコンロにより「焼肉スタイル」で焼いていくのも特徴です。

余談ですが……肉を焼くときの、まるで「育て上げていく」プロセスが楽しくなりませんか?そんなわけでしばし焼き色を見つつ箸で裏返しながら、いい感じに焼き上がったものをいただきます。

朝締め肉をそのまま味わう悦楽のとき
そして、いざ焼き上がったものを口に入れてみると……これが、うまい!
この日はあえてあまり情報を入れずに来たのですが、なんとなく想像していたおいしさを飛び越えてきました。
朝締めした鶏をその日に仕入れて提供するスタイルだからこそ、この新鮮な肉質が味わえるそうで、このおいしさに驚いたことが、ドライブイン鳥をぜひ紹介したくなった理由なのです。

焼き立て感そのままに、脂身たっぷりで非常においしく、肉汁も余さずすべて口の中に入れたいほどでした。
なお、タレは「焼き鳥と焼肉の中間」と言われる甘めの味わい。それをかけたり、そのままいただいたりと、味の機微を楽しむのもまた一興です。
うまい! 実にフレッシュかつ、際立つ味。

この日は一番乗りだったので、もしかしたら、もっとも鮮度が高い肉にありつけたのかも知れません。この感動の味を堪能したければ、朝イチに行くのがオススメです。

焼き鳥を堪能しつつ、さらにいただくのは「1年間で80,000名が食べる」と看板で豪語する「鳥めし」です。

ライトな味付けでとても食べやすい鳥めし。味わいが染み渡っていて、スイスイとスプーンが進みます。
紅ショウガと福神漬けでアクセントを加えながら食べ進めるのもいい感じ。

前田さんも「創業以来の変わらぬ味で、あっさりとしながらも、鶏肉の脂がしっかりとのった味わい」と語るおいしさです。

さらに、スープはかきたまが入っていて染み入る味わい。肉がゴロッと入っているのもうれしく感じます。

このセットが税込1,200円(2026年4月2日より1,230円に価格改定)なら、体験の満足度を含めて、かなりリーズナブルだと思えました。圧倒的な鶏肉の消費量があるからこそ、スケールメリットで安くできるのだとか。
単品メニューも粒ぞろい
なお、ドライブイン鳥では、地元伊万里をはじめとして佐賀を中心に飼養されている「ありたどり」がメインで使われています。
この鶏は、「地鶏・銘柄鶏好感度コンテスト」なる全国的賞レースで最優秀賞も取っているそうです。
単品メニューで一番人気の「唐揚げ」にもありたどりを使用し、付いてくる「カレー塩」も味変に最適だとか。

さらに、人気メニューとして前田店長が挙げているのが「ネック(せせり)」。「若どりの鳥首肉で、歯ごたえがコリコリとして、ジューシーなお肉です。希少部位のため人気です」とのこと。

このほか、「一羽から2つしか取れない貴重な部位」と前田さんが語る「鳥ハラミ」も人気だとか。
ちなみに前田さんがオススメするメニューは、全国的にも珍しい「赤どりのたたき」だそうです。

「地産地消」を掲げるローカルチェーンは多いのですが、ドライブイン鳥は特筆ものです。
先述のブランド鶏「ありたどり」に加え、牛肉に関しても佐賀牛や伊万里牛をメインに100%国産を使用しています。
さらに、以下のように地元の食材を使用していることを明示しており、米・ピーマン・トマト・きゅうり・小ねぎなどは「伊万里産」を使っているとか。

そのほかにも、
- 鶏肉(有田食鳥・JA佐賀)
- 伊万里牛(南波多ミート)
- 小ねぎ(伊万里グリーンファーム)
- アスパラ・きゅうり・米(JA伊万里)
- 豚肉(糸島店のみ・伊都の宝)
さらに地元の「堆肥」まで販売されていて、とにかく「地産地消」を感じます。

ちなみに、1967年に創業し、九州で展開して名をはせた札幌ラーメン店「えぞっ子」のテイストを継ぐ「二代目えぞっ子」がドライブイン鳥と同じ運営元によって、隣で営業されています。

濃厚スープには、ドライブイン鳥のノウハウを生かして「ありたどり」が使われ、“独特の風味とコク”を醸し出しています。

日本一こたつの多い店?
ドライブイン鳥は、「日本一こたつの多い店」として、日本一ネット(NIPPON-1.NET)という団体が“日本一”として記録に認定しており、110卓ものこたつがあります。

お店の開店当初は排煙フードシステムもなく、換気扇で煙を出していて冬はとにかく寒かったため、足元だけでも暖かく過ごしてもらえるように導入したのだとか。
そのまま今も「こたつ」がドライブイン鳥のシンボルになっています。

暖かい季節はこたつ布団を取り払うそうです。ちなみに、こたつ席の多さが、収容力にもつながっていて、300席ほどあります。
「伊万里で一番人が集まる場所(?)」のポテンシャルは十分あるわけです。
地元のスター「エガちゃん」を応援している
おみやげコーナーの自動販売機で江頭2:50さんのグッズを売っているのには驚きます。前田さんによると、
「地元出身者を応援していきたいという一心の表れです」
とのこと。地元に貢献したい一環で行っているそうです。

なお、「ゾンビランドサガ」「ユーリ!!! on ICE」とアニメ作品にも登場したドライブイン鳥 伊万里本店は、前田さんいわく「全国から多くのファンのお客さまがご来店になり、売上増と全国的な知名度アップにつながりました」とのこと。

最近では、高杉真宙さんの主演映画「架空の犬と嘘をつく猫」にも登場しています。
ドライブイン鳥は地元をもり立て、伊万里・そして佐賀の象徴にもなっている店だとわかります。
ちなみに、毎週水曜日“付近”が定休日です。“付近”というのは火曜日や木曜日などにずれ込むこともあるので、来る前には必ず公式サイトをチェックしてください。なお、チェーン店に珍しい定休日があるのは「スタッフが働きやすい職場」のためだとか。
◇
来店時のメモを開くと、
「鳥のポテンシャルをビンビン感じさせてくれる店」
「値段を遥かに超える満足感 肉がすごい!」
と、力強く書かれていました。個人的にメモに「!」を書き入れることはあまりないのですが、それでも「!」を入れたくらい心が動いたことを思い出します。
おいしい・楽しい。この2つがそろったお店に巡り合いたいといつも思っていますが、そんなお店こそがドライブイン鳥である気がしました。
今でもあの味を思い出すと、心は佐賀の空へ飛びます。佐賀インターナショナルバルーンフェスタの気球のように。
ぜひ、EVで飛ぶように出かけましょう。
ドライブイン鳥 伊万里本店のおすすめEV充電スポット
筆者:辰井 裕紀
ライター、番組リサーチャー。過去に秘密のケンミンSHOW(NTV系)などを担当し、ローカルの食文化と飲食チェーンを軸に、その土地で愛されるワケに迫る。著書に『強くてうまい!ローカル飲食チェーン』(PHPビジネス新書)。卓球とガジェットも好き。





