『秘密のケンミンSHOW』など数々の人気番組でリサーチ・構成に携わってきたライター兼番組リサーチャーの辰井裕紀さんが、全国のEVドライバーに「ぜひ行ってほしい」スポットを紹介する本企画。今回は、三重県松阪市が誇る名門焼肉チェーン「一升びん」の魅力に迫ります。
三重県松阪市。あの「松阪牛」で全国に名を轟かせる肉の街ですが、やや敷居が高い高級牛肉のため、実は地元の人でもなかなか食べられないとも聞きます。
そんな松阪市の地元民も足を運ぶ焼肉チェーンが、松阪を拠点に三重・愛知に15店舗を構える「一升びん」。
1962年にホルモン焼き屋からスタートし、名産の松阪牛を「一頭買い」するため、さまざまな部位の肉をリーズナブルに味わえる店で、地元民から観光客まで人気を博しています。
なんと肉が……「回る」
その一升びんにおいて、とくに行ってほしい唯一無二の店が、松阪市にある宮町店です。

店の前にはなぜか顔ハメボードまである宮町店。すでにヒントが出ていますが、この店の特徴は……

なんと……肉が、回る!!

そう、この一升びん宮町店は「回転焼肉」の店で、2000年にオープン。筆者が行った際は開店と同時に飛び込みましたが、すぐに店内が客で埋め尽くされるほどの人気です。
最近は、「特急レーン」で飛んでくる焼肉店が「回転焼肉」と称することもあるようですが、こちらにはホントの回転寿司スタイルの「回転焼肉」があるのです。
オマケにサイドメニューやデザートまでもが……回る!

どれを取っていいのか思わず目移りしてしまいますし、とにかくテンションが上がります。
社長の浅井大司さんの話によると、回転寿司ブームをヒントに「焼肉も流したら面白いのでは」と、回転寿司用のコンベアの設計図や技術を参考にして実現。
冷蔵して肉の鮮度を保つレーンや、受け取り口の自動開閉機構など、独自の工夫で問題を解決したそうです。

しかし、実はこの設備がとてつもなく高額で、1レーンだけで数千万円かかってしまうとのこと。これは焼肉店を1店作るための金額に匹敵するそうです。
さらにメンテナンス費用も非常に高額となり、これが参入障壁となって、マネをする同業者が少ないとみられています。
「松阪牛のホルモン」も並ぶ
一升びんは普通はしゃぶしゃぶやすき焼きで消費されるため、あまり焼肉用として扱われることのない「A-5ランクの松阪牛」を焼肉で味わえる店。その味を、この回転焼肉でも堪能できます。
なお、メニューはかなりの多さで、松阪牛だけでも商品がズラリ。野菜やデザートなどを合わせた総メニューは約60種類あります。
この回転焼肉は、一般的な焼肉の量の半分を、半額で提供しています。だからこそ、さまざまな肉を少量ずつ味わえて、気軽に食べ比べができるのもメリット。

「シャトーブリアン」のような最高級の部位から、気軽に食べられる「切り落とし」まで、気軽に松阪牛を味わえます。
さらには、創業当時からの伝統で「松阪牛のホルモン」をラインアップしていることが大きな特徴。松阪牛の精肉よりひときわ手を出しやすい価格です。
商品の数々は、タッチパネルや卓上のベルでスタッフを呼んで注文することも可能です。

松阪伝統の「みそダレ」でいただく
創業以来、先代より受け継がれた秘伝のみそダレ。「みそダレ」は、松阪界隈の食習慣でもあります。このみそダレは肉に最初からかかっているほか、卓上にもあるので、お好みに合わせて追加も可能です。
なお、社長の浅井さんによれば、「松阪牛がもつ、他の肉との違いは脂の甘さ」だとか。

なお、松阪の地元民の中ではリーズナブルな「鶏焼肉」が人気ですが、これを回転焼肉でも食べられます。焼き鳥とはまたひと味違う風味が楽しめますよ。


どうしようかな、何を取ろうかな……いろいろと考えながら、取った焼肉をじっくりロースターで焼く……このサイクルが妙に楽しいのです。

社長の浅井さんがおすすめするのは「赤身肉」。「脂も少ないしヘルシーで値段的にもリーズナブル、あっさりしつつ、少々サシもふっている」と絶賛する一品です。
ちなみに、松阪市出身のリオ五輪レスリング金メダリストの土性沙羅さんも、タンパク質を摂るために赤身を愛食していたのだとか。

希少部位の肉を新潟産米とともに堪能する
他の店舗と比べ、希少部位が多いのも宮町店の特徴で、この日は「力コブ(前足のこぶ)」が期間限定で提供されていました。牛1頭で1〜1.5kgほどしか取れない貴重な部位だそうです。

焼肉と言えば合わせたいのがごはんですが、一升びんでは火力の強いガス釜を使用して炊き、新潟産のコシヒカリを使っています。筆者も肉をおともにおいしく食べていたら、いつの間にかなくなっていました。

ちなみに、筆者は焼肉屋でキノコや野菜などの地味(?)な商品を黙々と食べるタイプなので、この日もしめじバターをゲット。

なかなか遭遇できないシチュエーションのため、筆者はまるでランナーズハイのようなテンションで、気づけば止まらずに皿を取って肉を焼き続けていました。
歴代の焼肉体験でも間違いなく一番の楽しさを味わえましたし、筆者の「自分的おいしさランキング」でも上位にランクイン。
ちなみに一升びんの回転焼肉は、2021年オープンの「一升びん名古屋則武新町店」にもあります。
原価50%余りの肉の秘密は「土地購入」?
この一升びん、原価率はなんと50%余りにも及ぶものの、店舗の大半は土地を購入しているため、家賃負担が少ない分を原価に充てられるとのこと。

松阪を中心にドミナント出店しているため、ニーズに応じて店を選べるように、各店に特徴を持たせているのも一升びんならでは。
この他にも、焼肉店としてはこれまた奇抜な業態である「松阪牛すき焼き・しゃぶしゃぶ 一升びん本店”はなれ” 」はお一人様向けで、全種類「一人用の鍋」を用意しています。

さらに、「鈴鹿店」では、1日10食のランチ限定メニュー「松阪牛 牛丼」で、松阪牛を気軽に味わえます。ただし争奪戦になるようなのでお早めに。

回転寿司システムで、松阪牛をはじめとした回る肉を見定めながら手に取り、好きなように焼く。新潟産コシヒカリとともに味わいつつ、シメにデザートを取って味わう……日本全国でも類を見ない楽しさが味わえる「一升びん 宮町店」。
周辺にはEV充電エネチェンジの充電スポットが豊富です。ぜひ、伊勢湾からの風に乗ってEVで出かけてみてください。
一升びん宮町店近くのおすすめEV充電スポット
筆者:辰井 裕紀
ライター、番組リサーチャー。過去に秘密のケンミンSHOW(NTV系)などを担当し、ローカルの食文化と飲食チェーンを軸に、その土地で愛されるワケに迫る。著書に『強くてうまい!ローカル飲食チェーン』(PHPビジネス新書)。卓球とガジェットも好き。





