EVの普及が徐々に進んでいく中、新車だけでなく中古車という選択肢も現実味を帯びてきました。「EVに興味はあるけれど、新車は高くて手が出ない」「雪国で本当に使えるの?」そのような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、雪国・山形県在住で、あえて「中古の日産リーフ」を選んだSさん(30代・男性)にお話を伺いました。ご自宅の太陽光発電とEVを組み合わせ、ゲーム感覚でマネジメントするEVライフの秘訣をたっぷりとご紹介します。
お話を伺った方 Sさん(山形県在住、30代、男性)
住まい 戸建て住宅(自宅に充電器有り)
EV歴 2025年〜日産リーフ(40kWhモデル・中古)
「車の寿命」と「自宅の環境整備」が重なったタイミングで購入を決意
ー EVを購入するまでの経緯を教えてください。
Sさん:以前乗っていたガソリン車(SUV)が古くなり、エアコンの調子が悪くなってしまったのが直接のきっかけです。車検のタイミングで見積もりを取ったところ、「修理するならあと10万円は必要」と言われ、「それなら思い切って乗り換えるべきでは?」と家族会議になりました。
ちょうどそのころ、自宅を新築しており、ライフスタイルを考慮しオール電化との相性が良いという結論に。屋根には太陽光パネル、駐車場には200VのEV充電コンセントを設置しました。それを軸に生活に必要な設備や家電を見直していく中で、車はEV一択だと考えるようになりました。
「車の寿命」と「自宅の環境整備」。この2つのタイミングが重なり、「今がベストタイミングだ!」とEVの購入を決断しました。
以前乗っていたガソリン車(SUV)が古くなり、エアコンの調子が悪くなってしまったのが直接のきっかけです。車検のタイミングで見積もりを取ったところ、「修理するならあと10万円は必要」と言われ、「それなら思い切って乗り換えるべきでは?」と家族会議になりました。
ー 新車ではなく、あえて「中古のリーフ」を選んだ決め手は何ですか?
Sさん:中古リーフを選んだのは、購入当時、予算とスペックの条件が合致した選択肢だったからです。当時選べる車種の中に特段惹かれるものがなく、「次の乗り換えまでのテスト期間」と割り切って、初期投資の安さを最優先としました。
リーフは安価な中古車が比較的多く市場に出ており、走行距離2〜3万km程度の車両でも、100万円以下から選択肢がありました。購入条件にマッチした車両が見つかったため、即決しました。
私は昔から中古車選びが好きで、これまでに3度、中古車を購入しています。今回もかなりリサーチしましたね。EVの中古車選びで重要なのは、走行距離よりも「バッテリーの状態」です。リーフの場合、メーターパネルに「セグメント」というバッテリー容量を示す目盛りがあり、これが満タン(12セグメント)残っているか、あるいは劣化が進んで減っていないか(いわゆる「セグ欠け」)を入念にチェックしました。
「まずは小さく始めてみる」というスモールスタートができるのも、中古EVならではの魅力だと思います。
昨年は各社で新車種の発売・発表が相次ぎ、今後EVの選択肢はさらに増え、間違いなく普及が進んでいくと感じています。EV市場は新車・中古車ともに成長が見込まれており、ラインナップが豊富になれば、さらに面白くなるはずです。数年乗って、また良い車が出たら乗り換えるのも1つの選択肢だなと考えています。

「ガソリンスタンド」のタスクが消えた。想像以上の快適さ。
ー EVに乗り換えて、生活や考え方に変化はありましたか?
Sさん:「ガソリンスタンドに行く」というタスクが、生活から完全に消えたことです。これは想像以上に大きな変化でした。
以前は、仕事帰りや休日の出先で、「あ、ガソリン減っているから入れに行かなきゃ」「あそこのスタンドは安いかな?」と考えるのが、ストレス気味になっていました。でも今は、家に帰ってプラグを挿すだけ。寝ている間に満タンになっています。スマホを充電するのと同じ感覚ですね。
妻も最初は「充電、難しそう」と不安そうにしていましたが、今では「ガソリンスタンドに行かなくていいのが本当に楽!」と喜んでくれています。
ー リーフの走行性能や乗り心地についてはいかがですか?
Sさん:とにかく静かですね。以前の車では当たり前だった「ブワーン」というエンジン音がまったくないので、車内は自宅のリビングのように静かです。そのおかげか、2歳の娘が車内でよく寝てくれるようになりました。これは嬉しい誤算でしたね。
もうひとつ感動したのが「e-Pedal(ワンペダル操作)」です。アクセルを離すだけで減速から停止までできる機能ですが、これが本当に優秀です。
市街地のストップ&ゴーや、渋滞時のノロノロ運転でも、ブレーキペダルへの踏み替えがほとんど必要ありません。右足の移動がなくなるだけで、運転の疲労度がここまで違うのかと驚きました。試乗では分からなかったのですが、日常的に使っていると、手放せなくなる機能ですね。
充電をゲーム感覚でマネジメントする楽しさ
ー ご自宅に太陽光発電があるそうですが、充電の工夫はされていますか?
Sさん:私としてはそれが一番楽しいポイントですね(笑)。EVに乗るようになってから、天気予報を気にして生活するようになりました。
専用アプリで発電量をリアルタイムにチェックできるのですが、「お、今は太陽が出ているぞ!」と分かったタイミングを狙ってEVを充電したり、消費電力の大きい食洗機を回したりしています。

太陽光で発電した電気を使えば、燃料代は実質ゼロ円です。まるでゲームのように、「いかに買電(電力会社から購入する電気)を減らして、自家発電で賄うか」を考えるのが楽しくて。
以前は月に1万円ほどかかっていたガソリン代も、今は基本ゼロ円で済んでいます。運用次第でコストを削減できるのは、ガソリン車にはないEVならではの面白さだと思います。
納車直後に自走で500km! 雪国でのリアルな使い勝手は?
ー 納車時は、東京から山形まで自走されたそうですね。
Sさん:はい、周りからは「クレイジーだ」と言われました(笑)。東京の府中で納車を受け、そのまま約500km離れた山形県の自宅まで自走して帰ったんです。初めてのEV運転が、いきなりの長距離ドライブでした。
実はその道中、上河内SAで「EV充電の洗礼」を受けまして。
急速充電器をつないで30分の待ち時間ができたので、名物の餃子定食を頼んだんです。ところが、混雑していたのか餃子がなかなか焼けない。充電終了の時間が迫る中、「あと5分、あと3分……」とハラハラしながら待ち、ようやく出てきた熱々の餃子を、残り1分で口に詰め込んで車に戻りました(笑)。
「充電時間の30分は意外と短い」ということを、火傷しそうな口の中で学びましたね。
ー それは大変でしたね(笑)。バッテリーは持ちましたか?
Sさん:それが、途中で思ったより充電が入らなかったこともあり、最後は意図せず「電欠チャレンジ」になってしまいました。
山形県に入ったあたりでバッテリー残量が心許なくなり、エアコンを切って、アクセルワークに全神経を集中させながらエコドライブに徹しました。自宅に到着した時のバッテリー残量は、わずか8%。RPG(ロール・プレイング・ゲーム)で言うなら、HP・MPが尽きる寸前に、命からがら宿屋に滑り込んだ——あの感覚でした。
でも、その経験のおかげで、「ここまで走れるんだ」という限界値を肌感覚でつかむことができましたし、何より家に帰り着けば充電できるという安心感を、強く実感しました。

ー 山形は雪国ですが、冬道や電費への不安はありませんでしたか?
Sさん:購入前は「冬の電費悪化」と「雪道での走行性能」が不安でした。
現行のリーフは前輪駆動(FF)なので、雪道でスタックしないか心配していましたが、実際に乗ってみると、バッテリーが床下に配置されているため低重心で、車重もあることから、意外なほど安定して走れました。
電費については、たしかに気温が下がると暖房の使用などで航続距離は落ちます。ただ、私の日常使い(片道10〜20km圏内の送迎や買い物)では、まったく問題ありません。
むしろ、「いざとなれば家でいつでも充電できる」という安心感のほうが勝っています。私にとって自宅の充電器は、RPGでいう「セーブポイント(宿屋)」のような存在。これがあるからこそ、安心してダンジョン(外出)に出かけられます。
EVオーナーとしての未来
ー 今後のEVライフについて、どう考えていますか?
Sさん:家族環境が変わったら、スライドドア付きのEV、たとえば「VW ID.Buzz」なども魅力的ですね。ただ、個人的には国産メーカーにも頑張ってほしい気持ちが強いです。今後、より手頃で高性能な国産EVが登場したら、乗り換えを検討したいと思っています。
ー これからEVの購入を検討している方にメッセージをお願いします!
Sさん:EVライフを楽しめるかどうかは、「自宅に充電環境を設置できるか」が大きなポイントだと思います。
戸建て住宅や、充電可能なマンションにお住まいであれば、生活の質がグッと変わります。迷わずおすすめしたいですね。いきなり高い新車を購入しなくても、私のように中古車から始めてみるのも、ひとつの有効な選択肢です。自宅がガソリンスタンドになる快適さを、ぜひ一度体験してほしいですね。





